12:00-12:40
40分
生成AIの登場は、自治体現場にも大きな変化をもたらしつつある。 北海道十勝地方の小さな町、芽室町(人口1万8千人弱)でも、職員自らがVibe Codingを用いて窓口業務支援システム「Memuro Agile Desk Open(MADO)」を開発し、実際の業務で運用を始めた。 従来、自治体システムは一定規模以上の自治体を前提に設計・販売されることが多く、小規模自治体にとっては過剰投資となりがちだった。 芽室町の取り組みは、「システムは買うもの」という常識を揺さぶり、「守る仕組みごと、みんなで作る」可能性を示している。 さらにMADOは継続性を見据え、オープンソースとして公開され始めている。 一方で、現場主導の開発が可能になったからこそ、新たな課題も見えてきた。
本セッションでは、三つの問いを軸に議論する。
- セキュリティ システムは作れても、そのリスクを庁内で誰がレビューし、責任を持って判断するのか。
- DB設計 Vibe Codingは「まず動くもの」を素早く作れるが、将来の拡張性や保守性を保証するものではない。専門家による上流設計を欠いたまま、どこまで耐えられるのか。
- 資金と人材 自治体の枠を超えて人と資金が循環するエコシステムを、誰がどう設計するのか。 さらにこれらを貫く根本的な問いがある。「担当者が異動したら、どうなるのか」。これは技術や熱意の問題にとどまらず、日本の行政構造に深く関わるリスクである。答えはまだない。
だからこそ、芽室町の実践を手がかりに、実践者や行政に造詣の深いエンジニアと共に問いを共有する40分としたい。
Speaker

北海道芽室町役場
係長
建築・まちづくりを学び2007年に芽室町へ入庁。都市計画、固定資産税評価、新庁舎建設など公共事業を経て、2023年に住民窓口部門へ異動し、現場を主導して窓口DXを推進。プログラミング未経験から独学とAIで窓口業務システムを内製・本番運用し「書かない窓口」を実現。基礎自治体が職員内製システムを自治体公式でOSS公開した全国でも例のない取り組みとして「MADO」を公開し、メンテナーを務める。

一般社団法人コード・フォー・ジャパン
理事
パナソニックにて半導体・電気回路設計に従事後、フィンランド・Aalto大学修士課程でサービスデザインを学ぶ。帰国後は神戸市役所にICT業務改革専門官として3年間在籍。現在は一般社団法人Code for Japan 業務執行理事として、テクノロジーを活用した行政の組織変革や、兵庫県豊岡市での地域社会DX伴走支援など、人口減少時代における持続可能な地域社会の構築に取り組む。神戸大学V.School客員教授も務める。

合同会社山形巧哉デザイン事務所/芽室町CIO補佐官
代表
北海道森町出身。小さな自治体でも、変化にしなやかに対応できる“自走する仕組み”がある社会を目指し、地域の意思決定を、確かな根拠と実装力で支えている。 座右の銘は「まあすわりなよ」 合同会社山形巧哉デザイン事務所・Code for Japan・国際大学GLOCOM客員研究員・デジタル庁オープンデータ伝道師