12:50-13:30
40分
AIは実験段階を越え、医療、交通、教育など、日常を支える公共サービスの中に組み込まれつつある。その導入をどう市民と合意していくかは、まだどの自治体も経験したことのない問いである。 加古川市は、2016年に見守りカメラ導入に向け準備を進め、市長自らが市内12会場のオープンミーティングで説明に立ち、2017年に見守りカメラの導入や画像の取り扱いを厳格に制限する条例を制定するなど、 市民との丁寧な 合意形成を重ねてきた。あわせて、2020年にはCode for Japanとの連携協定のもと、市民参加型プラットフォーム「Decidim」を日本の自治体として初めて導入した。 本セッションでは、その実践者である岡田康裕加古川市長を迎え、経験に根ざした視点から当時の判断と現在の考えを聞く。さらに、情報法政策・AIガバナンスを専門とする大阪大学の工藤郁子特任准教授より、国際的なAIをめぐる議論の潮流をご紹介いただき、加古川の経験がそこにどう位置づけられるのかを考える。事例紹介にとどまらず、「今の技術でもう一度やるとしたら」「市民の問題意識が薄い地域では」といったシチュエーションを変えながら論点を掘り下げる対話型のセッションとし、今後の自治体におけるAI実装のヒントを参加者とともに考える。
Speaker

加古川市長
加古川市長。東京大学工学部卒業、ハーバード大学院修士課程修了。経営コンサルティング会社、衆議院議員、上智大学法学部非常勤講師等を経て、2014年に加古川市長に就任し、現在4期目。 「市民が幸せを実感できるまち」を目指し、見守りカメラ・見守りサービスをはじめ、デジタル技術を活用した安全・安心のまちづくりに取り組む。まちづくりオープンミーティングやDecidimを通じて市民の声を聴き、行政だけで答えを出すのではなく、市民、地域、事業者とともに課題を捉え、解決につなげていく市民中心のまちづくりを進めている。 AI活用においても、技術の活用を目的とするのではなく、市民の安心やウェルビーイングを高めるための手段として捉え、市民理解、プライバシー保護、倫理的な検証を重視。対話と合意形成を大切にしながら取組を進めている。

大阪大学 社会技術共創研究センター
特任准教授
大阪大学 社会技術共創研究センター 特任准教授。世界経済フォーラム 第四次産業革命日本センターなどを経て現職。データやAIのガバナンスに関する研究活動を行い、国際会合の開催によりルール形成にも貢献してきた。2023年にG7公式官民イベント「DXサミット」を企画運営し、G7デジタル・技術大臣会合閣僚宣言で参照された。2024年に内閣府「AI制度研究会」構成員を務めて日本のAI法制定に寄与した。共著に『AIと憲法』『尊厳とAI・ロボット』『Handbook on the Global Governance of Artificial Intelligence』など。

一般社団法人コード・フォー・ジャパン
代表理事
一般社団法人コード・フォー・ジャパン代表理事。政策起業家・シビックハッカーとして、2011年東日本大震災時にsinsai.infoを立ち上げ、2013年にCode for Japanを設立。デジタル庁シニアエキスパート、神戸市チーフ・イノベーション・オフィサー、東京都チーフデジタルサービスフェローをはじめ、全国の自治体で行政DXを推進。市民参加型の社会課題解決を牽引している。